TAIYO YUDEN

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見た目は平ら、触ればコツコツ感?
圧電アクチュエータの振動技術が
もたらすフラットデザインの可能性

#積層圧電アクチュエータ

今回は圧電(ピエゾ)素子にクローズアップ。その応用デバイスの一つ「積層圧電アクチュエータ」を取り上げます。そもそも圧電素子とは?そして積層圧電アクチュエータとして機能する仕組みとは…
興味深い不思議な物質の世界をご紹介します。

目次

  • ▶︎2つの顔を持つ不思議な物質「圧電素子」
  • ▶︎振動で触感を作る?積層圧電アクチュエータの技術
  • ▶︎こんなことができるかも!積層圧電アクチュエータの未来

2つの顔を持つ不思議な物質「圧電素子」

「積層圧電アクチュエータ」という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれません。とても難しそうな名前ですが、簡単にいうと“振動を起こす部品”のことです。
振動を起こす部品として一般的なものでは、スマホに使われているバイブレータがありますが、これは偏心モータ(モータに重心をずらした重りをつけたもの)を振動源とした振動デバイス。同じ振動デバイスでも、今回取り上げる「積層圧電アクチュエータ」の大きな特徴は、「圧電素子」を振動源にしている点にあります。

※アクチュエータ
電気エネルギーを物理的なエネルギー(回転や振動など)に変換する装置のこと。モータもその一種photo01.jpg
▲積層圧電アクチュエータ/シート形状の中に圧電素子と電極が配置されている

振動源の「圧電素子」はとても面白い特性を持った物質です。
別名“ピエゾ素子”とも呼ばれ、加える力によって“圧電効果”と“逆圧電効果”という、全く反対の2つの働きをします。

①<加える力=圧力>
圧電素子に“圧力”を加えると、電気が発生します。
これを“圧電効果”と言います。

②<加える力=電圧>
圧電素子に“電圧”を加えると、振動を起こします。
これを“逆圧電効果”と言います。

積層圧電アクチュエータは、電圧を加えることで振動を起こす“逆圧電効果”を利用した振動デバイスなのです。

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▲圧電効果と逆圧電効果の概念図/逆圧電効果(右)は電圧を加えると振動を起こす仕組み

振動で触感を作る?積層圧電アクチュエータの技術

振動させる点でいえば、先ほども触れたバイブレータなどで使われている偏心モータと積層圧電アクチュエータは、同じ振動デバイスであることに違いはありません。しかし、積層圧電アクチュエータには、“単なる振動”を“高度なテクノロジー”に進化させる魅力が秘められています。

積層圧電アクチュエータの特徴の一つに“フォースフィードバック”と呼ばれる、反力(押し返す力)による局所的な触覚機能が挙げられます。
例えばスマートフォンの画面上に表示されたボタンをタップすると、積層圧電アクチュエータの反力によって、押した感覚を得られるというもの。
偏心モータの場合、スマートフォン全体を振動させることしかできませんが、積層圧電アクチュエータは圧電素子が細かく並べられている構造なので、押した部分だけに触覚を伝えられるのです。

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振動による触覚の3パターン/フォースフィードバックと触感は積層圧電アクチュエータで再現される

反力によるフォースフィードバック機能は、さまざまな分野で活用が見込まれています。
スマートフォンなどのディスプレイに搭載することはもちろん、例えばフォースフィードバック機能搭載のグローブとVRを組み合わせることで、映像の中の物を掴んだ感覚をリアルに感じる仕組みも考えられています。
さらに、フォースフィードバックの先の技術として、ディスプレイ上にザラザラ感やツルツル感といった、手触りとして感じる“触感”の実現に向けた開発が行われています。


<摩擦力による触感の仕組み>

パネルに組み込まれた積層圧電アクチュエータで超微細な振動を起こすことで、あたかも“ザラザラ”や“ツルツル”しているような触感が再現できる仕組みです。
また、振動の間隔や大きさを変化させることで、幅広い触感再現が可能になります。

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定在波と触感の概念図/定在波が発生したパネル表面をなぞることで触感を得られる

指でコースをなぞると、段差のガタガタ感や水溜りでのツルツル感をシームレスに実感できるデモ機もあります。
将来的には、積層圧電アクチュエータと通信技術の融合により、触感をスマートフォンやタブレットで疑似体験できるようになってくるかもしれませんね。

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▲左/定在波によるパネルの表面振動を可視化したイメージ 右/実際の展示機と触感のイメージ

こんなことができるかも!積層圧電アクチュエータの未来

これまで見てきた積層圧電アクチュエータの2つの触覚機能“フォースフィードバック”と“触感”を組み合わせると、どんな未来が広がるのでしょうか?

<自動車運転の安全性向上>
いまや自動車のダッシュボードの操作スイッチの多くは、物理スイッチからタッチパネルに取って代わる傾向にあります。
タッチパネルに移行することで、カーナビはもちろん、オーディオやエアコンなどの操作機能を一箇所に集約することができ、操作性とデザイン性向上の面でメリットがあります。
ただ、物理スイッチと違い、ボタンの位置や操作感が瞬時に判別できないというデメリットも持ち合わせています。
このデメリットを解消し、タッチパネルのメリットをさらに引き出せるのが積層圧電アクチュエータです。
積層圧電アクチュエータをタッチパネルに搭載することで、フォースフィードバックによって、ボタンの操作感の認識が可能になります。
そしてボタンごとに異なる触感を与えれば、手探りでもボタン操作感を認識できます。

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タッチパネルでも確実なボタン操作が可能に(イメージ)

<家電製品のフラットデザイン化>
また家電製品も自動車同様に、積層圧電アクチュエータを搭載したタッチパネルを使えば、デザイン性と機能性を高めることが可能になります。
電子レンジや洗濯機は物理スイッチが主流です。様々なメニュー機能に対応するためにボタンを増やす必要がある一方、本体のダウンサイジングやデザイン性を追求すると、ボタンの数を増やせないジレンマがあります。
そこで、自動車のダッシュボードのように、触覚機能を再現するタッチパネルを搭載することで、フラットデザイン化や高機能化が両立できるようになり、よりスタイリッシュな製品が誕生しそうです。
さらには、触感の技術を高めた先に、点字が再現できる“触覚点字タッチパネル”といったユニバーサルデザイン製品も誕生するかもしれませんね。

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より自由度の高い製品開発や使い勝手の向上も(イメージ)

日々進歩を続けている積層圧電アクチュエータは、まだまだ活用の幅が広がっていく技術。
物理スイッチの操作性実現やゲームでの活用以外にも、様々な製品との組み合わせ方次第で新しいソリューション誕生の可能性を秘めています。

今回ご紹介した技術

太陽誘電ホームページで
詳しく解説しています