TAIYO YUDEN

技術やソリューションを発見!

光学技術を水害監視に応用展開!
河川防災の切り札「水位計」に
込められたCD-Rで培った技術

#水位計

昨今の記録的な豪雨や河川氾濫による洪水の発生。水害の早期警戒と被害抑制の観点から、今、高い精度の「水位計」に注目が集まっています。
今回は、高精度の水位計測を可能にした水位計の技術と「CD-R」の意外な関係をご紹介します。

目次

  • ▶︎身近で起こる水害と河川防災の重要性
  • ▶︎CD-Rの技術で水位計測?!CD-Rと水位計の意外な関係とは
  • ▶︎最新水位計と水害監視ソリューションの今

身近で起こる水害と河川防災の重要性

いつ起こるかもわからない災害への備えは、私たちの日々の生活に身近なもので、考え続けなくてはならないテーマとなっています。

日本の国土は河川が張り巡らされており、水資源が豊かな一方で、河川が引き起こす水害と隣り合わせとも言えます。近年の気候変動による大型台風の発生や記録的な豪雨による水害が拡大傾向にあります。

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▲日本の豊かな風土を育ててきた河川が脅威になることも(イメージ)

近年、特に防災上の課題となっている、河川の堤防決壊などが引き起こす洪水や内水氾濫(※)の被害を最小限に抑えるために、注目が高まっているのが、“河川の水位変化をいち早くかつ精緻に把握する”技術です。
河川の水位変化をスピーディーかつ高精度で把握する事ができれば、危険水位までの到達時間をより正確にシミュレーションでき、住民の避難誘導の迅速化と洪水危険区域から、より遠くへ移動する時間を確保できるようになります。
住民の生命と財産を守るために、最前線で防災対策と向き合っている自治体にとって、河川防災の重要度は急速な高まりを見せています。

※内水氾濫…急激な雨量の増加などによって、市街地の排水能力が追いつかず、道路や建物に浸水被害が発生する状態。用水路が溢れることでも引き起こされる。

CD-Rの技術で水位計測?!CD-Rと水位計の意外な関係とは

河川防災で今、注目が集まっているのが「水位計」による高精度の水位計測です。
水位計による水位計測は、電波(ミリ波)を水面に照射し、跳ね返ってくるまでの時間で水位(水面の高さ)を計測する仕組みです。
とてもシンプルな仕組みのようではありますが、水面の反射電波を正確に捉えて水位を計測することは、実は技術的なハードルが高いものなのです。

水面は、風や雨の影響を受けるため、常に波が立っており、水位計から照射した電波を乱反射させてしまいます。そして、乱反射した電波が“ノイズ”となって測定誤差の原因になってしまうため、正確な水位計測がしにくいという問題があります。
そこで、この問題をクリアし、高精度の水位計測を可能にする決め手となったのが、太陽誘電がかつて培った「CD-R」の技術でした。

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▲水位計測の概略図/水面から跳ね返ってくる電波を正しく捉えられるかが計測のポイント

世界で初めてCD-Rを開発した太陽誘電は、これまで培ってきたCD-Rの光学技術を他分野で応用できないかと模索していたところ、乱反射ノイズ除去の技術(※)が水位計測に有効である事がわかりました。CD-Rと同様に、風や雨の影響を受けて波打つ水面も乱反射ノイズを発生させるという共通点に着目し、CD-Rで培った「乱反射ノイズ除去技術」を活用した水位計が開発されることになったのです。

※CD-Rは、記録面のわずかな歪みによって生じるレーザー光の乱反射ノイズを除去しながら情報を読み取っている。

最新水位計と水害監視ソリューションの今

太陽誘電製の最新水位計は、独自の乱反射ノイズ除去技術を用いることで、縦10cm×横10cm×高さ6cmの手のひらサイズにまで小型化を実現、約400gにまで軽量化されました。

そもそも屋外に設置する水位計に、小型・軽量化を求める必要はあるのでしょうか?
実は、河川防災の最前線を担う自治体が抱える課題に、そのヒントがあります。

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▲太陽誘電製 最新水位計/CD-Rで培ったノイズ除去技術によってコンパクトに

日本国内で、中小河川も含めると19,000もの河川の監視が必要と国土交通省が発表していますが、実際に監視できているのは2,000河川ほど。そして地方自治体の管轄になっている河川も多いため、十分な監視体制が取れないケースもあります。
ただ河川防災は、住民の生命と財産を守る自治体にとって喫緊の課題であることに違いはありません。そこで、この課題をクリアするために「水位計の小型・軽量化」が大きなメリットになるのです。

<水位計の小型・軽量化のメリット>
①設置場所の制約を受けにくい
 →狭い用水路等への設置も可能
②ローコスト対応(製造・設置)
 →限られた予算の中でより多くの水位計の導入を可能に

水位計の小型・軽量化を実現することは、ひいては自治体の防災力の強化へとつながっていきます。

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▲最新水位計の設置イメージ/橋の欄干などにも省スペースで設置できる

河川防災や内水氾濫の監視・警戒は、水位変化の把握だけではなく、冠水状態や周囲の状況把握といった総合的な判断材料も必要になります。
そこで太陽誘電では、水位計と冠水計や暗視性能を高めたモニタリングカメラを組み合わせて「水害監視システム」として提供、自治体との実証実験も開始しています。
このシステムは各種監視機器とともに、電線の敷設ができない場所でも使えるようにソーラーパネルとバッテリーを備え、無線通信で遠隔地でもシステム監視画面を通じて河川の監視と警戒ができるようになっています。

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▲システム監視画面のイメージ/水位などの河川状況をグラフや画像でリアルタイムに監視可能

今後、水害監視システムの設置数が増加し普及していけば、システム同士を緊密に連携させて、点での河川防災から「面での河川防災」が可能になっていきます。
防災の網がきめ細かく張り巡らされた安心・安全な未来も、そう遠くはないのかもしれませんね。